
建築や土木の現場では、専門的な部材や用語が数多く存在し使われています。
そのため、他業界の方や業界歴が浅い方がその全てを理解するのは容易なことではありません。
ただし、それらを扱ったり関わったりする場合には正しい理解が不可欠でしょう。
今回の記事では「ウィープホール」に焦点を当て、役割や用途、主な種類、設置方法などを解説し、弊社で取り扱っている関連製品もご紹介します。
ウィープホールとは何かを知りたい方、関連製品をお探しの方はぜひ参考にしてください。
ウィープホールとは?

建築物や土木構造物に設けられる排水孔を指します。
主にコンクリートで作られた構造物に設置され、通常直径数センチ程度の穴で、目立つものではありませんが、
建物や構造物の寿命や安全性に影響を与える重要な存在です。
集中豪雨などで地下水が急激に増えることがあり、その圧力が構造物に大きな負担をかけます。
実際に、老朽化した構造物が浮上する事故も起きており、ウィープホールなどを活用した対策を行うことは安全確保に直結します。
合成樹脂製のものが多く、目皿や弁筐、ケースなど複数の部材で構成されています。
内部にはゴムや樹脂製の弁体が組み込まれ、水圧の変化に応じて開閉し、不要な浸透水や地下水を排出しつつ逆流を防止する仕組みになっています。
役割
降雨や融雪に伴い地下水位が急激に上昇すると、大きな側面土圧や揚圧力が作用し、構造物の変位や破壊を引き起こす危険があります。
そうした障害を防止するには、周囲にたまった過剰な水を効率的に排出する必要があります。
それに役立つのがウィープホールです。
側壁や底板に設けられたウィープホールによって、浸透水や地下水を水路内へ排出し、圧力を調整することで、構造物の浮上や不等沈下、ひび割れ等の発生を防ぎます。
多くの製品には逆流防止用のゴム弁が備えられており、過剰な水を逃しつつ、水路側からの逆流や洗堀を抑制できます。
主な用途
- 河川護岸
- 用排水路(現場打、フリューム)
- 調整池(護岸、底盤対策)
- ダム洪水吐
- 河川越流堤
以上のような水圧の影響を受けやすい場所・構造物に設置されます。
河川や水路では、堤体や護岸に溜まった水を外へ排出することで構造物の安定性を保ちます。
調整池やダムでも内部に浸透した水を適切に逃がす必要があり、水圧の上昇による破損や劣化を防止します。
種類
ウィープホールには側壁に設けて浸透水や地下水を横方向に排出する「側壁用」や、底板部分に設置する「底盤用」などの種類があります。
さらに、各製品ごとに穴の直径や排水性も異なり、構造物の規模や周囲の環境に応じて適切な仕様を選ぶことが重要です。
もし用途に合わない製品を設置すると排水不足につながり、構造物の寿命を縮めてしまう可能性もあるため、設計段階での適切な選定が欠かせません。
設置方法
対象となる構造物の種類や用途に応じて位置や数を適切に計画することが欠かせません。
一般的に、擁壁や側壁では一定間隔で水平に取り付け、内部にたまった浸透水や地下水を横方向に排出できるようにします。
底盤用の場合は床に埋め込む形で設置します。基本的には既存構造物への後付けも可能です。
設置後は目詰まりによる機能低下を避けるために定期的な点検・清掃が欠かせません。
特に長期間にわたる使用では泥やゴミが堆積しやすく、排水性能を損なうことがあるため注意が必要です。
そのため、設置時にはメンテナンスがしやすい構造の製品を選定することも重要なことです。
【ウィープホール】関連製品
ここからは、弊社「株式会社トーテツプラス」で扱っているウィープホールや関連製品をご紹介します。
紹介するのは、側壁用・底盤用ウィープホールや、大型施設・構造物向けのドレイナー、フィルターです。
浮子弁式 ウィープホール【側壁用】

側壁に設置して地下水を横方向に排出するタイプです。
浮子の作用で弁体が自動開閉し、逆流を防止。
金属不使用で耐久性に優れ、本体の取り外しや交換が容易なためメンテナンス性も高いです。
浮子弁式 ウィープホール【底盤用】

底盤部分に設置するタイプです。わずかな水位変化にも敏感に反応し、地下水を効率的に排出。
フィルターが土砂の侵入を防ぎ、弁体を保護します。
こちらも交換が容易で、耐久性と保守性を兼ね備えています。
サイドドレイナー

大型水路や調整池向けに設計された製品で、排水量が多いのが特徴です。
弁球が柔軟に作動し、逆流や洗堀を防止。
設置間隔を広く取れるため、大規模構造物向けです。
アンダードレイナー

底盤に設置する高排水タイプで、特に大型水路やダムに適しています。
水頭差20mmで作動し、内部清掃や弁体交換も可能(モデルによる)。
耐蝕性に優れた材質を採用しているので耐久性は抜群です。
TMフィルター

ウィープホールと併用し、砂礫や細粒土の流入を防ぐためのフィルターです。
構造物内部への異物流入を防止でき、後付けも可能です。
立体構造のため目詰まりしにくく、差し込むだけで簡単に施工できる点も特徴です。
パットフィルター

パネル状のフィルターで、砂礫や土砂の侵入を防止できます。
ウィープホールと併用することで、排水機能を安定的に保つことができます。
背面土砂の流出を防ぐ構造により、劣化や目詰まりを抑え、施工も容易に行える製品です。
製品の詳細に関しては、以下のページをご確認いただき、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
ウィープホール・水路擁壁用集排水器材の詳細はこちら
ウィープホールについて
ウィープホールとは、河川や水路、調整池、ダム、地下構造物などに設けられる排水孔で、構造物の安全性と耐久性を守るために欠かせないものです。
過剰な浸透水や地下水を逃がすことで、揚圧力や側面土圧による浮上・破損を防止し、構造物の安定性を確保することができます。
側壁用や底盤用などの種類があり、各製品によってサイズや排水性能等も異なるため、設置場所や用途に応じて選定することが求められます。
なお、ウィープホールに関するお悩みやご相談等ございましたらぜひ弊社「株式会社トーテツプラス」にお問い合わせください。豊富な経験を活かし、適切なご提案をさせていただきます。